漢方薬の多くに甘草が処方されているのはなぜなのか?
漢方外来をやっているけれど、本当にこれはあっているのか、と思うことがあります。
体質に合わせた薬の処方や、薬膳を作っているけれど、実のところどうなんだろう?
ふとそんなことを思う時があるのです。
漢方診療に来る人はみなさんいろいろな思いをもって来院されます。
他の病院に行ったものの、自分に納得のいく効果が出なかった人や、手術や放射線治療に頼らず代替医療で治したいと考える人が多いです。
でも、医療を尽くしても、最終的には、食品添加物を食べるか食べないか、なのではないかと思ってしまうこともあるのです。
また、漢方医ですから、薬は主に漢方処方となるのですが、漢方薬が効くのは圧倒的に生姜と甘草が入っているからということだけではなのだろうか、という意見に行きついたりすることもあります。
漢方薬には副作用がないと思っている人がありますが、漢方薬でも患者さんの体質によっては副作用が出ることはあります。
漢方処方の中の約7割のものに甘草が入っていますが、甘草を含む漢方薬には、副作用として間質性肺炎を起こす可能性があるのです。また、アルドステロン症というむくみが出ることもあります。
ですから、患者さんに糖尿病性腎症があったり、腎機能障害があったりする場合や、気陰両虚の症状がみられる場合は甘草を抜く処方をします。症状によって、甘草や朝鮮人参を処方から抜くということは、煎じ薬だからできることですが、これは、長年の知恵からくるものでもあるのです。
では、なぜ副作用を起こしやすいものが多くの漢方薬に入っているのか、と考えてみました。
甘いからオリゴ糖じゃないか、フラクトオリゴ糖が入っているのではないか、と思ったけれどどうやら違っているようです。
もしかしたら、腸内細菌のいいエサになっているのではないだろうか、とも考えたけど、これもまた違うようです。
甘草の成分に、グリチルリチン酸が含まれていて、これが慢性的な病に対しての抗炎症効果があります。慢性の炎症は染色体を傷つけて身体を酸化させます。だからがんになるし、老化を
進めることにもなるのです。慢性の炎症をいかに外すかということは大事で、甘草にはその効果があるため、7割もの漢方薬に処方されていると考えられます。
ファスティングミミキングダイエット(FMD)
1ヶ月に連続5日間だけ低カロリー食にして、食事をしながらも断食時と同じ状態に導き、断食中のような健康効果が期待できる食事法のことをファスティングミミキングダイエット(FMD)といいます。
アメリカで18歳~70歳の男女に実験したデータがあります。
FMDと通常の食事を3ヵ月実践した結果としては、圧倒的に低カロリー食FMDが免疫系を活性化し、糖尿病や脂肪肝などの生活習慣病のリスクを抑えたり、生物学的の年齢が2.5歳若返ったというデータがあります。つまり、このFMDは細胞の再生力を高め寿命を延ばす効果があるのではないかと考えられるのです。
また、イタリアの医療研究機関では、5日間だけ、カロリーを300~600kcalに抑えた野菜を中心にしたスープを摂るようにして、残りの25日間はアンチキャンサーフードを食べて様子を見ました。これを、オペ不能な進行がん101名に行った結果、副作用がなかった患者がいたことと、完全寛解が5例あったそうです。
FMDという低カロリー食を続けることで、早期乳がんの女性における抗がん剤の副作用が軽減するというデータがあったり、また、FMD低カロリー食をすることで、健康な細胞は保護する一方で、がん細胞には化学療法が効きやすくするというデータもあります。
5日間のFMDでは、糖質代謝から脂質代謝に変わる時が辛いようです。体重は落ちるけど、頭痛い、気持ち悪い、吐くなどで、一般家庭ではなかなかできないのです。VillaCAMPOでは、ドクターがついて行われるためFMDが効果的で結果も良好です。
VillaCAMPOでは、ヒポクラテススープを中心に、ベジブロススープ、発酵水など低カロリー食で5日間行います。がんを患っていない人だと平均して体重が3キロくらい落ちることがあります。ほかには、卵巣がんで腹膜播種があり肝臓に転移していた人が、痛みもなく5日間過ごしていたということもありました。
この5日間で腸内細菌叢を整えるのですが、5日間のFMDをやるとみなさん3日目ぐらいからとても元気になります。
人類は飢餓状態に置かれることに耐性がありますが、FMDを行うことで、栄養が来ないと勘違いして飢餓のスイッチが入り、生き延びるための必要な反応が体の中の細胞内で起きると解釈しています。
それらはオートファジーと言って細胞が自ら不要な物質を分解してリサイクルする機能が働き、細胞の浄化、リサイクルをしてくれるのです。
細胞のもととなる幹細胞が増え、細胞レベルで身体をリセットしていくシステムが発動するのです。
実は、パーソナル薬膳を行って、どれだけその人にあった食材を選んでいても、こんなに劇的な反応は起こらないのです。だから冒頭の「漢方外来をやっているけれど、本当にこれはあっているのか?」と思うことがあったり「体質に合わせた薬の処方や、薬膳を作っているけれどはたしてどうなんだろう?効果が得られているのだろうか?」そんなことを思うのです。
FMDを行う際に、腸内細菌叢、血液検査、尿検査などのデータをとって様子を見ているのですが、悪いデータは出てこないというのを体感しています。
苦しめば、苦しむほど結果を手にしていくということを思い、回を繰り返すことで、手ごたえとこの先にFMDを続けていくためのヒントが満載なのです。
例えば、Aさんは摂取エネルギーをどのくらいにしたらいいだろうか?とか、蛋白質をどのくらい減らすことでBさんのオートファジーのスイッチが入るのだろうか?など、様々な角度から患者さんを診ていくのです。
腸内脂肪酸(短鎖脂肪酸)は、動物性蛋白質が入れば飽和脂肪酸が入り、腸内細菌のバランスが崩れます。ですから動物性蛋白質をカットするのです。私たちは、生きていく上で必要なエネルギーを腸内細菌が作り出します。必須アミノ酸は自分の体内で合成されないので、食べ物から摂る必要があるのですが、自分の中で作られるアミノ酸の蛋白質のもとは、肝臓の蛋白合成と腸内細菌で作られているのです。
腸内脂肪酸(短鎖脂肪酸)は、
・免疫細胞を活性化させる
・基礎代謝を高める
・腸内環境を整える
・体脂肪を低減させる
これらの働きがあります。
免疫力を上げるときにどうしたらいいかというと、要するに食べることで腸内細菌を養っているので、いい腸内細菌を整えることが重要であると考えます。
腸内細菌活性化で善玉菌を増やそう
人間の体細胞は40兆個、腸内細菌は100兆個、免疫細胞の7割が腸にあるので腸内細菌のいい子を増やしたいと思います。
腸内細菌はまだまだ未開な部分が多く、これを食べたから善玉菌が増えるとかいうことも実は解明し切ってはいません。ですから、以下のことに気をつけてほしいと思い伝えています。
・シンプルに野菜を多く食べる
・無駄なサプリを摂らない
・ホールフードを食べよう
・腸内細菌のエサであるフラクトオリゴ糖をたくさん摂る
・プレバイオティクスをしっかりと入れる
※プロバイオティクス
(腸内環境を良くすることによって私たちの健康に役立つ微生物のこと。菌そのものの作
用によって腸内環境を改善する)
※プレバイオティクス
(有用な腸内細菌の餌となる食品成分を摂取することによって腸内環境を改善する)
※ポストバイオティクス
(私たちが食べたものを材料に、腸内細菌が健康に良いものにつくり変えてくれるという
考え方)
フラクトオリゴ糖だったら、バナナ、蜂蜜、玉ねぎなどがいいです。
レジスタントスターチ(難消化性デンプン)は、いも類や豆類をおすすめします。
イヌリンは、ごぼう、たまねぎ、ニンニクなどで摂取できます。
こうして食品で入れていくのが一番だと考えるのです。
もう一つ、何でもかんでも腸内細菌にエサを与えるというよりは、フラクトオリゴ糖で、かつ、腸内細菌全般にいいと言われるケストースがいいと考えます。
VillaCAMPOでFMDをやる時は、ケストースを朝昼晩飲んでいただきます。ケストースは腸内細菌が直接食べる糖なのです。腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌から成り立ちますが、悪玉菌がいないと善玉菌が存在しないので、悪玉菌も必要なのです。
悪玉菌を排除したら全部善玉菌になるのではなく、バランスが大事なのです。陰があるから陽があるという陰陽理論と同じなのです。
それから、プレバイオティクスを入れようとすすめるのは、乳酸菌を入れたとしても、
1日2日で体外に出てしまうからです。プロバイオティクスは胃酸などで死滅しますが、死んだ菌も役に立つことがわかっています。さらに、乳酸菌で善玉菌を増やそうとすると、毎日大量の乳酸菌を入れないといけないので、今自分が持っている善玉菌を活性化させることが大事であると言えるのです。
人間の身体は食べたものでできている
・普通に食事を摂るということ(シンプルに野菜を食べる・ホールフードを食べる)
・食品添加物を極力減らす
・不必要な薬は飲まない(無駄なサプリをとらない)
・腸内細菌のエサであるフラクトオリゴ糖をたくさん摂る
・プレバイオティクスをしっかりと入れる
これらを普通に実践していくことが本当に大切であると感じています。
人間の皮膚の表皮は外界と接して乾燥しているから、死んだ細胞で固められています。死んだ細胞で固められているからぽろぽろおちるのです。その皮膚からは、何かを吸収することはほぼできず、すぐに乾燥したり、逆にジュクジュクします。
反対に、口腔内や、膣などの粘膜は、外界と接していて、様々なものを吸収することができます。外界と接している部分は、病原体が侵入しやすく、疫病とは9割ぐらいが口(消化管)から入ってくるのです。この消化管に疫病が入るから、人のからだを護る防衛隊が消化管に多くいるのです。このことから食事を大切にしてほしいという思いと、食事は毒にもなるし薬にもなると思っています。
人間の身体は木。根っこは小腸。そして根っこを支えるのは土であり、大地を豊かにしていくことが大切と考えます。自分たちが豊かであるためには、土を育て根っこをしっかり張り伸ばしていく。真理はここにあるということを体感するのです。
漢方薬を飲む、体質にあった薬膳を食べる、FMDを行う。どれも正解だと思います。
マクロの視点から、ミクロな視点から人の身体をみてきたけれどやはりここに戻ってくる気がするのです。科学がどれだけ進歩しても、畑にできたものを丸ごといただいて、そのエネルギーを自分の生きるエネルギーとする。これが真理なのではないかと思います。
さて、あなた自身が幸せに生きるための身体をどうやって作っていきましょうか?
※VillaCAMPOでは、腸内フローラリセットリトリートと題して低カロリー食を中心とした「あなたがあなたであるための」生きる力を蘇らせるリトリートを毎月開催しております。
詳細を知りたい方は統合医療センターにお問い合わせください。